認知症予防の理念

ポピュレーション・アプローチ

アルツハイマー病や脳血管障害による認知症は長い準備状態の過程を経て発症します。アルツハイマー病では、認知機能の低下が認知症の発症の約7年前から起こり始めます。予防を考えるならば、早いうちからアミロイド蛋白をためない生活習慣を身に付けることが望まれます。

また、認知機能を鍛えるにも、早い時期から始めると脳の柔軟性(可塑性)が高く、より大きな効果が期待できます。

地域で認知症予防をすすめるには、軽度認知障害を持つ人も、認知障害のない健康な人も含めた、地域の一般の高齢者を対象とするポピュレーション・アプローチが重要です。

いろいろな能力を持つ人たちが認知症予防プログラムに参加することによって、メンバー同士が助け合い、仲間として長く活動していけることになります。

また、プログラムに参加した人たちが地域に啓発をし、次のプログラムを支援する担い手となっていきます。住民の力で認知症予防の輪が地域に広がっていくことが理想です。
 

認知症予防の理論 

認知症に強い脳を作る

認知症の中核を占めるアルツハイマー病は、30年という長い期間のアミロイド蛋白の沈着によって起こる病気です。最近の研究から、どのような生活習慣がアミロイド蛋白の沈着を少なくするかが分かってきました。

野菜や果物をたくさん食べる人、魚をよく食べる人、ワインを飲む人、ウォーキングなどの有酸素運動をよくしている人は、アルツハイマー型認知症の発症の危険度が低いことが分かっています。こうした生活習慣を続けることで、認知症に強い脳がつくられると考えられています。

知的な脳の機能をたくさん使う人は、認知症の発症率が低いことが分かっています。認知症になる前に、衰える脳の機能は、体験したことを覚え、思い出すエピソード記憶。2つ3つのことに同時に注意を配り、注意を切り替える注意分割機能。新しいことをやる手順を考える計画力です。このような機能を積極的に使うことによって、神経の伝達機能が高まり、神経のネットワークが強化され、認知症に強い脳が作られるのです。